収録日2022年7月6日(水)

視聴期限

動画時間約 103分

カテゴリー相続 / 信託(民事信託・商事信託) / 法務

第9回 民事信託マスター講座 <番外編>
金融機関は信託契約書のどこをチェックするか
● 士業は民事信託を会得しないで、これからの相続業務の担い手としての未来はない。
● 民事信託は、信託口口座を開設する金融機関が、信託契約のリーガルチェックという手法のもとに、信託の組成にかかわり、民事信託の業界をけん引している。したがって、金融機関が信託契約書のどこをチェックするか、これを知ることは不可欠である。
● それだけではない、裁判例も出ており、基本となる信託仕組み(基本的ルール)を学ぶことはより大事である。

【1】民事信託における士業の役割

 (1)家族民事信託は、任意の財産管理と成年後見制度とのはざまにあって、
    ときには遺言に替わり成年後見制度を補完するという大きな力を発揮している。
 (2)金融機関が、民事信託をリードしている。
    しかし、民事信託をけん引できる金融機関はわずかで、その実態の多くは
    専門的知識を有する士業に依存している。公証人も絶対的信頼は勝ち得ていない。
 (3)一方で専門家である士業は、いかに実力をつけるかが課題となっている。


【2】家族民事信託の基本とは何か

 (1)信託の組成にあっては、無効な信託を組成してはならない。
    極めて単純明快な言葉だが、意味は深い。
 (2)本職は、「正しい信託」「生きる信託」を提唱している。
    正しい信託とは、何かを民事信託の成立要件を具体的に説明する。
 (3)信託の組成にあった大事なことは、「信託設定の意思」の確保であり、
    さらに分別管理義務と信認義務の履行である。


【3】裁判事例(信託契約書)から家族信託契約の基本と失敗の原因を学ぶ

 (1)平成30年9月12日東京地裁判決は、家族信託支援業務を担う者に大きな衝撃を与えたが、
    ようやくこの裁判事例の信託契約書を手に入れた。
 (2)平成30年9月の判決で取り上げられたのは遺留分の問題である。
    このため遺留分の侵害の有無は、リーガルチェックを行う金融機関にとっては金科玉条のごとく、
    最重要点検項目となっている。この事件で問題になった信託契約書の契約条項をもとに、
    家族民事信託の基本と問題点を学ぶことにする。


【4】金融機関が考えているリーガルチェックの項目

 (1)金融機関の「信託口」口座開設についての考え方を知る。
 (2)拙書(「家族信託の実務 信託の変更と実務裁判例」180頁以下)を詳解。


【5】令和3年9月17日東京地裁判決

 (1)令和3年9月判決は、士業専門職の不法行為責任を認めた画期的な事件であるが、
    当該事件における真の問題点は何かを知り、危うい家族信託支援業務を避ける手法を考える。
 (2)信託内借入れを内容とする信託契約に金融機関が求めるものは何かを知る
 (3) 同判決は、家族民事信託の支援を担う士業や金融機関にどう影響したか


【6】最近の注目すべき動向

 (1)認知症でなくても、高齢委託者において、信託を理解しておらず、
    後から「騙された」と言い出す事例が目立ち始めている。
 (2)民事信託が、リスク説明責任を尽くしていないと言われないようにすべきことは何か、を考える。

2022年7月6日(水)

遠藤家族信託法律事務所

遠藤 英嗣 氏

弁護士


プロフィール
元蒲田公証役場 公証人 日本成年後見法学会 常務理事 野村資産承継研究所 研究理事 平成17年3月 公証人任官(東京法務局所属・蒲田公証役場)。/平成21年5月 日本公証人連合会常務理事。/平成21年5月 日本成年後見法学会理事。/平成27年4月 公証人退官。/平成27年4月 株式会社野村資産承継研究所 研究理事 就任。/平成27年4月16日 弁護士 登録。遠藤家族信託法律事務所 開設。/平成27年5月 日本成年後見法学会 常任理事。/実務で、これまでに100件を超える信託に関する公正証書を手掛け、一方遺言公正証書や任意後見契約の公正証書を3000件以上作成している。 ≪主な著書≫ 「新しい家族信託」(日本加除出版)、 「新しい地域後見人制度」(日本加除出版) のほか、家族信託や任意後見契約に関する著書 など

【課目】 相続・事業承継
【認定区分/単位】   AFP 1.5 単位 、  CFP 1.5 単位

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