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平成27年1月1日から相続税の基礎控除額が引き下げとなりました。
これを受けてか、昨今は「相続税減税対策」や「遺言書の書き方」といった相続をテーマとするセミナーや書籍などを目にするようになりました。

多くの方は相続というと、「次の世代への円満な財産継承」というイメージをもたれるかと思います。
確かに、財産の継承は相続の本質的な役割であるため、相続税対策や遺言書作成など、早くから備えておくことはとても大事なことです。

ところが実際は、
「相続が起きた後（自分が亡くなった後）の対策さえできていれば安心」
ということでは、必ずしもないのです。
相続を考える際には、財産の継承だけではなく、
「この先自分の資産を使ってどうやって幸せな余生を送るのか」
ということも考えておく必要があるのです。
どういうことなのか、次にご説明します。

近年、認知症を有する高齢者の数は増加傾向にありますが、
いったん認知症の症状が発生すると、判断する力や理解する力が次第に衰えていきます。
そして判断能力が失われた状況に陥ると、本人の資産を本人や家族が自由に動かせなくなってしまうのです。
例えば、「認知症の父親名義の定期預金を解約したい」「父親名義の土地を売却して介護資金を捻出したい」といったことができなくなるのです。（いわゆる「資産凍結リスク」）

また、これからは「長寿リスク」にも目を向けなければなりません。
医療・介護の発展により長寿化が進んでいる現在、老後の生活費・介護費・入院費も増加の一方をたどっています。
そのため、老後の資金がどれだけ必要になるのかわからず、「自分で使いたくても使えない」「子や孫にあげたくてもあげられない」といった問題を抱える人も少なくありません。
このように、自分の財産を自分の意思で消費できなくなったときに、誰がその意思を継いでサポートしてくれるかということも、重要な問題なのです。

しかし、多くの高齢者やそのご家族は、こういったリスクへの対策を特に採ることなく日々の生活を送っていらっしゃるのではないでしょうか。

そこで本セミナーでは、上述の「資産凍結リスク」「長寿リスク」を乗り切るための対策・手法について、具体的な事例を用いて考察していきたいと思います。

【１】家族信託とは
【２】具体的事案考察

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